- Good Quality -
京都の四条河原町にある高島屋、その地下1階「T8」ゾーンで醸造される、完全都市型のアーバンワイナリーがこの「京都ワイナリー」。今回は醸造初年度に造られたファースト・ヴィンテージの甲州を、1年瓶熟成させてからの試飲となります(ラベルにヴィンテージ表記はなし)。
世界でも類を見ない「百貨店の地下で造るワイン」という衝撃的な存在感もさることながら、造り自体も酵母の添加すら行わず完全に天然酵母のみで醸造し、ボトリングの際も無濾過、さらには酸化防止剤無添加と、終始徹底して自然な造りが実施されています。抜栓直後はやや還元気味で、米麹や潰した煮豆のような、やや味噌にも似た雰囲気の香りが優しく漂いますが、基本的には時間とともに解消していく傾向にあったので、香りが気になる場合は抜栓後に少し時間を与えた方が無難かもしれません。
基本的には早飲みタイプで、甲州ならではの特徴や風味、ボディの構成などもかなり控えめではありますが、それでも優しく染み渡る、いい意味で水のようなスタイルは思いの外心地よく、ワイン単体で飲むと物足りない反面、食事(特に日常的な和食との相性がかなり良さそう)と合わせると想像以上にポジティブな印象に変化するので、低いアルコール感もあって日常に寄り添うワインとしての存在感は意外と高いのかもしれません。そういう意味では、アーバンワイナリー特有の問題とも言えるコストパフォーマンスの分の悪さがやや気になる点と言えるかも知れません。
(2024/10)