- Good Quality -
八ヶ岳の麓、標高750mという高地に位置するのが「ドメーヌ・ミエ・イケノ」。開墾前の畑に猫の足跡が多くあったことから、畑の名前を「猫の足跡畑」とし、会社の名前もフランス語に訳した「レ・パ・デュ・シャ」と名付けています(星野リゾートの「リゾナーレ八ヶ岳」とも提携)。2014年の生産本数は3,527本のみ。
これまでミエ・イケノのピノ・ノワールは、相対的にやや若い状態で飲むことが多かったので、今回の2014年ヴィンテージは敢えて熟成させて、ちょうど節目となる10年経過のタイミングで試飲してみることにしました。今回のロットは一切動かすことなく長期間定温保管したボトルということもあってか、状態は万全でコルクも特に問題なし。よく見るとエッジが若干オレンジがかっているものの、それでも色調はしっかりしていて、外観からは特に熟成した要素は伝わって来ません。とはいえ、香りにはやや退廃的なニュアンスが見え隠れしていて、実際飲むと仄かに枯れた古酒らしいニュアンスが感じられる状態となっているので、着実に相応の熟成が進んでいることが伝わってきます。全体的に酸がかなりしっかりしていることもあり、長期熟成にもある程度耐えられるようなトラディショナルなスタイルになっているのが印象的で、ヴィンテージに関わらず常に見られるコアの硬さも一定量残っているものの、それでも古酒らしい枯れた佇まいに半歩以上進んでいる傾向にあるので、必要以上に気になることはなさそうです。純粋な果実味も十分生きている印象で、やや酸と退廃感にマスキングされる傾向にはありますが、それでも噛み締めるとしっかりとした甘みは伝わってきます。念のために抜栓3日後まで様子を見てみましたが、その全体像を鑑みると概ね7〜8年ぐらいで飲むのがベストな印象で、熟成のポテンシャルとしては最大15年ぐらいが一つの目安になりそうです。
(2024/04)