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メルローで有名なエノロゴ「リッカルド・コタレッラ」が手がけるスポルトレッティのフラッグシップワインですが、今回は初となる10年熟成のオールド・ヴィンテージになります。とは言え、凝縮感の高いハイポテンシャル系ワインということもあり、10年程度の熟成ではまだまだ若々しく、古酒的な熟成感とは無縁と言った印象でもあります。
コアの凝縮感はかなり高いものの、相対的には軽やかで瑞々しい傾向にあり、流麗感ある心地よい佇まいを持っているのが印象的です。煮込んだような多様なハーブの重層感が主となる表情を形作っていますが、体躯内部は微細で墨汁やインクを感じる質感に、ビターチョコを感じる程よい苦味が良いアクセントになっています。
例年のヴィッラ・フィデリアと比較すると、リッチさよりもエレガントさにやや傾倒している印象があり、その瑞々しさと凝縮感に一定の距離感があることから、純粋な一体感や球体的な塊感は得られていないものの、その反面、ちょうどその特性が食事とのペアリングによって華開く印象でもあるので、実用性という意味においては例年よりもかなり高い印象でもあります。手頃な価格帯でありながら、熟成させても安定して楽しめるハイパフォーマンスワインとして、古いヴィンテージでも変わらずお勧めできそうです。
(2024/01)