- Good Quality -
コアの果実味にはかなりの凝縮感があり、やや過熟系のニュアンスを感じるしっかりとした甘味が残っていますが、反面、土台となる酒質はかなり軽やかでこのクラスらしい佇まいとなっています。サンジョヴェーゼらしい硬質感やタイトに引き締まる収斂要素、表層の艶感など、各要素は明確ではありますが、現状では強めの甘味と酒質の薄さのコントラストがやや気になるところではあります。
全体像としてはボルドーライクなスタイルを感じる側面もあるので、飲む時にはカベルネ用のような大振りなグラスを使用するイメージを持つかもしれませんが、実際には先述した甘味と薄さがより強調される傾向にあったので、どちらかというとキャンティ用のグラスのようなタイトで細身のグラスの方が相性は良さそうな印象です。特に抜栓後2〜3日経過させると無駄な力が削げ落ち、抜栓時に目立った甘味がうまくボディに溶け込む傾向にあったので、本来このワインが持つパワーやエネルギーを完全開花させるには意外ともう数年熟成させる必要があるのかもしれません(一見すると気軽に楽しむ系に思えるのでやや意外)。少なくとも、最終的にはしっかりとしたアルコール感(14%)や重厚なタンニンなどにスポットが当たる、より上のクラスが感じられる状態までしっかり昇華してくれたので、気軽に一杯だけ飲むという楽しみ方だと全てのポテンシャルを引き出すのはやや難しい印象でもあります(酒質を均一化させるという意味合いでのデキャンタなら有効そう)。
(2023/12)