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アルザスという地で、ビオディナミ(複数の認証を取得済み)を実施する自然派の造り手が「チュスラン」。天然酵母で発酵を行い、補糖や補酸なども一切行っていません。
グラン・クリュの「フィングスベルグ」や、その丘の頂上にあるチュスランのモノポール「クロ・リーベンベルグ」と同じ斜面にあるボーレンベルグの丘の中でも、よりジュラ紀のライムストーンが強く出ている区画から造られています。トップキュヴェではないものの、それでも蝋を使ったキャップシールの上から通常のキャップシールを被せるなど、クロージャーに神経を使っていることもあってか、7年経過した現在でも生き生きとした表情を持ち、落ち着いた綺麗なスタイルということもあってか、想像以上のポテンシャルが感じられます。
硬質感のある輪郭と煌びやかな表情を持ちつつも、内部には蜜を感じる貴腐ワインのようなニュアンスが感じられ、そのミネラル感が決して厳格にならないよう、程よい距離感を維持して構築されている印象です。全体像としては思ったよりもニュートラルで癖はなく、素直に楽しめる明快さ、熟成に耐えるポテンシャル、適度に親しみやすい距離感、これらがチュスランらしいピュアで綺麗な酒質の元、どこか一方に偏ることなくバランスよく構築されている傾向にあります。表記はVin sec 1で完全に辛口ですが、エキス的な蜜を感じる果実味のおかげで口当たりよく飲み進めることができるので、幅広い層に素直に訴求する印象です。ビオ系の自然派ワインに抵抗がある人でも全く問題なく楽しめることや、このご時世に現実的な価格帯が維持出来ていることを考えると、純粋なコストパフォーマンスはかなり高いと言えそうです。
(2023/02)