- Recommended -
ピノ・ノワールとサンソーの交配品種であり、南アフリカを代表する土着品種が「ピノタージュ」。70年代以降、一時期低迷していた品種ではありますが、近年では再び見直されて現在では様々なタイプのワインが造られています。
手軽な価格帯のピノタージュということもあり、高い糖度を生かした甘く分かりやすいスタイルを想像していましたが、実際にはこのレンジのクオリティを超える充実感を有しているのが非常に印象的です。確かに乳酸の丸みや多少の彩度を感じる親しみやすいスタイルなのに違いはありませんが、それでもシラーのようなスパイシーさに、プリミティーヴォのような果実感が相まって、個性ある魅力的な表情を生み出しています。さらに表層的には気軽に飲める系でありながら、ボディ内部は密度のある充足感を持っているのも大きな特徴で、しっかりとしたアルコールのパワー感(14%)がうまくバランスを保ち、安定した全体像の構築に寄与している印象でもあります。
シュナン・ブランで造られる白ワインもかなりポジティブな印象でしたが、ピノタージュで造られる赤はさらに半歩以上前進している印象でもあり、この価格帯でできることは十二分にやりきっていることもあってか、ピノタージュという品種の持つ可能性に対して更に期待したくなります。
(2023/01)