- Very Good Quality -
2年前に試飲した2001年とはまるで真逆、まさにこれぞ2003年とも言うべき非常にリッチで濃密な甘みがストレートに展開されます。色調も鼈甲のようにかなり濃く、アタックからその強い甘みに圧倒されますが、丸く柔らかみのあるボディにネットリとした甘みが主要素となり、アフターにかけてもずっと強い甘みが口中に残る傾向にあるので、どちらかと言うと一般的なソーテルヌよりもややアイスワインに近いスタンスかもしれません。
今回のロットは14度で管理し、約15年間ほぼ動かすことなく熟成させた貴重なもので、現状でもまだまだパワー溢れる状態ではありますが、それでもその資質には一定の熟成感が表出している傾向にあり、若干オレンジのニュアンスが感じられる妖艶さも併せ持っています。ただし、凝縮した甘さが突出していて、それ以外の要素が相対的に控えめな傾向にあるので、バランス面を考慮すると食事に合わせるのはかなり難易度が高く、素直に食後酒としてやデザートと合わせて嗜む方が無難な印象です。とはいえ、抜栓から数日経過させると、若干甘さが穏やかになり、当初はマスキングされていた酸や収斂系の仄かな苦味が後味に感じられるようになるので、全体的なバランス感の向上とともに将来的な熟成によって大きく化ける可能性も垣間見せてくれます。ボトルコンディション次第ではありますが、今後も数十年単位の熟成が可能なポテンシャルを有しているだけに、ある意味、最終的に大きく花開くかどうかはボトルの個体差次第と言えるかもしれません。
ほぼパーフェクトな評価を得る、偉大なヴィンテージとして名高い2001年は、熟成が進んで既にポテンシャルピークを超えているような印象ではありましたが、今回の2003年はほぼパワー全振りというスタイルなこともあってか、まだまだ先が見通せないレベルのエネルギー総量を誇るので、今後も長期的に保管しておきたいのであれば、個人的にはこの2003年をよりお薦めしたいところではあります(とは言えかなり尖ったスタイルなので飲み手を選ぶのは確かですが…)。
(2023/01)