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フォントディのキャンティ・クラッシコは、パンツァーノにある自社畑の「コンカ・ドーロ」で穫れるサンジョヴェーゼで造られます。使用されるサンジョヴェーゼは自然な栽培方法(オーガニック)がとられ、熟成にはフレンチバリックが用いられます。
紫系のインキーな表情ですが、サンジョヴェーゼらしいツルリとしたクリアな質感で、タイトに引き締まる酸が中心にしっかりと位置しています。思いの外タンニンがしっかりしている印象ではありますが、同時にチョコレートのニュアンスやモダンで親近感ある甘みがしっかり感じられるので、以前試飲した2016年と比較すると、全体像としてはより間口の広いマジョリティ向けの世界観になっています。
ひたすらサンジョヴェーゼ道を突き進みすぎると、ポテンシャルは高くても孤高の存在になりがちなので、ある種親しみやすいモダンなスタイルをキープしているというのは、現代におけるワイン像としてはメリットも多い印象ではあります。ただ、場合によっては端的で安直な指向性と捕らえられなくもないので、この辺りは飲み手によって多少評価が変わるかもしれません。とはいえ、今からでもすぐに美味しく飲めて、品種の特性もしっかりと感じられると同時に、優れたポテンシャルと安定したバランス感覚も持ち合わせているというのは、高い技術力と良質な葡萄がベースにあるからこそでもあるので、以前となんら変わらず間違いなくお薦めできる良質なキャンティ・クラッシコだと言えます(価格が上昇傾向にあるのが唯一の懸念)。
(2022/12)