- Good Quality -
角田浜にある砂質土壌の自社畑から造られるピノ・ノワール。上位キュヴェの「ビジュー」は樹齢20年を超える品質の高いクローン主体で造られていますが、スタンダードクラスの2019年はブルゴーニュクローンとスイスクローンから造られています。
抜栓直後から想像以上に香り高く、心地よい甘旨味も感じられ素直に訴求してきます。ボディ内部は緻密でしっかりとした密度を感じるものの、その佇まいは軽やかかつ滑らかで、求心力がありながらもエレガントな振る舞いとなっているのが非常に印象的です。中でも、特に質感や品位に優れている印象で、他の一般的な日本のワインには感じられない独自の存在感を示しています。ある種、伝統産地的な歴史に裏打ちされたかのような存在感があり、砂質土壌という特徴を有するピノ・ノワールの個性を、しっかりと人の手で明確なビジョンを持って打ち出された実像感というのがかなり鮮明で、揺るぎのない自信と意思がハッキリと伝わってきます。
基本的にはモダンな仕上がりで、やや彩度を感じる傾向にはありますが、それでも親しみやすさだけでなくポテンシャルも一定量感じられ、抜栓後数日経過させると当初の軽やかさよりもコアの強さの方がより明確化される傾向にあります。酸やタンニンの表情がより印象的なこともあってか、不思議とエレガント系のネッビオーロのような雰囲気も感じられます。全体的に、一流の料理人の仕事にも通じるような、優れた素材選びと最適な調理法による結実と言った様相が感じられ、スタンダードクラスとはいえその高めの価格帯に応じた一面を有しているのは確かなので、機会があれば積極的に試す価値はありそうです(上位キュヴェ「ビジュー」への期待が膨らむ)。
(2022/11)