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以前はリゼルヴァ、そしてスタンダードなキャンティ・クラッシコと、時代によって変化し続けるマッツェイの象徴たるアイテムですが、現在は3つの地域を代表する3つのグラン・セレツィオーネのひとつとして、最上位のキャンティ・クラッシコとしての地位を担っています(カステッリーナ・イン・キャンティから「フォンテルートリ」、ラッダ・イン・キャンティから「バディオラ」、カステルヌオーヴォ・ベラルデンガから「ヴィコレジオ」)。
2016年のセパージュは、サンジョヴェーゼ92%に、マルヴァジア・ネーラとコロリーノが8%。新樽比率60%の225リットルと500リットルのフレンチオーク樽で20ヶ月熟成。仕上げにコンクリートタンクで4ヶ月落ち着かせてから、2018年11月にボトリング。生産本数は6万7千本。
サンジョヴェーゼらしい細身の酸が感じられ、紫系のニュアンスを伴う仄かな梅紫蘇の風味が感じられますが、それでも全体像はいたってモダンでリッチ。硬質感や張りは程々に抑えつつ、バニラを感じる上質な樽の風味も相まって、かなり明快なスタイルに仕上がっています(分かりやすく高い評価ポイントが得られそうなスタイル)。若干表層にゴワツキがあり、全体を通してやや技術的な指向性が主体となっている傾向にはありますが、それでも内包する要素自体は十分なクオリティを持ち、まさに優れたヴィンテージらしい充足感によって良好な仕上がり具合を見せてくれます。サンジョヴェーゼ然とした孤高さは控えめで、やや丸みのあるボリューム感の方が主体となってはいるものの、一般層にはより訴求しやすい表情なのも確かなので、後はより細部に磨きをかけて全体としてのパッケージングを高めていけば、今後はより一段上の訴求力を放ってくれそうな印象を受けます。
(2022/11)