- Good Quality -
競輪などで活躍した元プロサイクリスト「飯島規之」による第二の挑戦がワイン造り。ワイン名の「マディソン」には二つの意味があり、一つは自転車競技の種目で二人一組でスイッチしながら行うレースの名前で、もう一つはオーストラリアのパース在住の自転車仲間でもあるスティーブの娘さんの名前が由来となっています。
畑は千曲川左岸、標高660mの八重原台地の南東にある傾斜地で、強い粘土質土壌が特徴の自社畑100%、そして新たに完成した496ワイナリーで造るファースト・ヴィンテージとなります。発酵と熟成にはステンレスタンクを使用。ノンフィルターでボトリングされ、生産本数は僅か386本のみ。
粘土質土壌らしいかなりドッシリとした濃密なコアを有していて、一種独特な個性を持つ、他にあまり類を見ないタイプのピノ像が構築されています。表層はクリアな質感ですが、ややピリピリとした微発砲感のようなものが残っている傾向にあり、その体躯内部には煮詰めたウスターソースのようなニュアンスが感じられ、どちらかというと品種の特性よりも土壌の個性と造り手の個性が色濃く反映されている傾向にあります。基本的にはメルローで造られるアマンダと似た資質を持っていて、表層的には滑らかで重量感も決して重さを感じるようなタイプではないものの、それでもその内部はかなり重層的で非常に充実しています。素直に味覚に訴えかけるようなタイプではなく、また全体的なパッケージングにも課題はありますが、それでも内包する要素については既に駒が揃っているような印象で、ファースト・ヴィンテージとは思えないレベルで非常に高く、そして大きな可能性を感じる内容になっているので、今後新たなヴィンテージを重ねて進化と発展を続けていければ、最終的にはかなり大きな期待が持てそうです。
(2022/11)