- Good Quality -
2007年12月に、醸造家のキム・トイスナーと栽培家のワーウィック・マレーによって設立されたのが「ザ・ミュート・ヴィントーナーズ」。高級ワイン産地のバロッサ・ヴァレーにありながらも、「多くの人が日常的に飲めるワイン」をコンセプトにコストパフォーマンスの高いワインを生み出しています。そしてこの「ラウンド・トゥー」は、ザ・ミュート・ヴィントナーズが手掛ける2つのブランドのうちの1つで、大手に買い叩かれていた畑の再起として「第2ラウンド」と名付けられています。
ブラン・ド・ブランですが、セパージュはセミヨン42.5%、ソーヴィニヨン・ブラン42.5%、シャルドネ15%と、3品種によるブレンドで造られているので一般的なシャルドネ100%のブラン・ド・ブランとは大きく異なる世界観になっています。残糖9.5g/lなので一定の甘味は感じられますが、それでもベタつきは一切なく、シャルマ方式で造られる低価格帯のお手軽スパークリングと聞いて想像するような安易な甘さではなく、ボリューム感のあるボディの中心に位置するような塊感のあるタイプで、その周囲に纏うキレのあるシャープな表層とバランスの取れた明確な酸のおかげでいたってポジティブな印象を受けます(全体像としてはスッキリ爽やかで心地よい甘みを持つタイプ)。特に抜栓日は琥珀的な蜜のニュアンスや仄かなイースト、そして僅かながら樽要素も感じられ(5%のみ使用済みのフレンチバリックで12ヶ月間熟成)、この価格帯からは想像できないポテンシャルを披露してくれます。
翌日に持ち越すと、さすがに表情はシンプルになり、価格帯相応の親しみやすいスパークリング像へと変化しますが、それでも全体のバランスが崩れることはなく、このワインが持つ本質的な魅力は健在だったので、トータルで見るとかなりコストパフォーマンスが高いスパークリングワインだと言えそうです。
(2022/09)