- Good Quality -
サン・ジョヴァンニ・ア・チェッレートの町の近くにある葡萄園が「テヌータ・サン・ジョヴァンニ」。隣接する教会には、ルティリオ・マネッティが描いた福音記者ヨハネがあり、このサン・ジョヴァンニという土地と歴史に敬意を表して、国際的なシンボルにもなっている蛇と聖杯をラベルに描いています。
2016年のセパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン75%、サンジョヴェーゼ20%、カベルネ・フラン5%。2017年は生産されず、2018年からはカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランが半分づつというブレンド比率に生まれ変わっているので、これがサンジョヴェーゼがブレンドされた最後のヴァルディサンティとなります。
甘いバニラに(新樽比率70%のフレンチバリックで16ヶ月間熟成)、カベルネらいしいハーブの風味、そして漢方やヨードを感じる多様なスパイス感、さらに乳酸の柔らかい表情とサンジョヴェーゼのタイトな酸やクリアな資質が加わり、トライーニらしい端的で明快なパッケージングで仕上げられています(他のトライーニのアイテムと本質的に同じ質感)。いたって純粋に飲んで楽しめる世界観なので、特に難しい側面もなく多くの層に対して素直に訴求する表情と完成度ではありますが、同時に、人の力でコントロールされたかのような製品感(不思議な安定感)もあるので、マス向けとしての良さを持つ反面、逆に表層的な美味しさだけでなく、より一歩踏み込んだ本質的な良さを追求するような層には、あまり訴求しないかもしれません。
(2022/03)