- Very Good Quality -
短期間のスキンコンタクト後にプレスし嫌気的な状態で発酵。その後10ヶ月間、澱とともにステンレスタンクで熟成を行なっています。清澄は行なっていませんが、フィルターでの濾過は行いボトリング。白ワインながら、最適なサービス温度は14〜17度とやや高めになります。
スキンコンタクトの影響もあってか、色調は思いの外しっかりとしていて、そこから立ち上る豊かな南国系の香りに圧倒されます。味わいはライチを思わせる果実味が主体となっていますが、わかりやすい甘味がストレートに伝わるような系譜ではなく、むしろスパイシーでヒリリとした辛味が広がるタイプなので、印象としては伝統産地的なゲヴュルツトラミネールに近い表情だと言えます。とは言え、ボディは豊かで終始とにかくリッチ。表層はスッキリと引き締まっているのに、その内部は粘度が高く、バナナやパインのようなニュアンスも感じられます。キレのあるタイトさと豊かな充実感、その一見相反する要素がしっかりとバランスしていることもあり、非常に完成度の高い世界観が構築されている印象を受けます(偶然こうなったのではなく意図的にコントロールして造り上げている印象)。
日本(北海道)のワインとは思えないレベルの世界観で、とにかく充実感が高く、同時に他に類を見ない明確な個性を打ち出しているのが最大の特徴です。気軽に楽しめるようなマジョリティ向けワインとは一線を画す造りであり、ある意味、一般家庭で日常的に気軽に飲むようなタイプのワインではなく、むしろレストランでペアリングを意識しながらピンポイントで楽しむような、真に美食家向けのワインと言えるかも知れません(とは言え気難しくはない)。
(2022/03)