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マルヴァジア60%、グレコ30%、シャルドネ10%、これら3品種によるブレンドで造られる、ポッジョ・レ・ヴォルピのフラッグシップがこの「ドンナルーチェ」。過去12ヴィンテージの内、6度で99点、4度で98点と(ともに評価はルカ・マローニ)、毎年のように安定して高いクオリティを発揮しています。
パッと見たところ、1,000mlボトルなのかと思ってしまうほど、過去類を見ないレベルの極太超ヘビーボトルを採用しているのが印象的で、その独特のラベルデザイン等も含め、日常的な価格帯のワインだとは思えない仕上がりになっています。まず香りからして、濃密な極甘口ワインを彷彿とさせるような印象ですが、実際に飲むと、端的な甘さよりも適度にキレのある引き締まった表情や、雪解け水のような流麗でサラリと流れる酒質の方が明確に印象に残ります。高いアルコール(13%)からくる辛味や、硬質で艶のあるテクスチャなど、各要素が多方面においてバランスよく配置されているので、濃密な果実味だけが際立つようなことはありません。果実味自体は橙系の南国的なニュアンスを持っていますが、それでも全体像としてはエレガントでスッキリとした指向性なのがかなり面白いところでもあります。ポテンシャル系の要素と、万人受けする分かりやすい美味しさ、そして他にはない圧倒的な個性と、一見すると相反する要素を絶妙なバランスで共存させている稀有な存在だとも言えそうです(ワイン造りにおける技術レベルの進化を実感)。
(2022/02)