- Good Quality -
京都府相楽郡精華町出身の中野雄揮によるレーベルが「久能ワインズ」。ニュージーランドのネルソン、日本の山形県、オーストラリアのバロッサ・ヴァレーなど、世界各地からその土地のキャラクターを生かしたワインを生み出しています。
フリージアのセパージュはシラー100%。しかもそのうち50%を、ボジョレー・ヌーヴォーでお馴染みのマセラシオン・カルボニック(全房のままタンクにCO2を入れて密閉)で仕込み、残りの50%は圧搾して野生酵母で5日間発酵、その後ブレンドしてステンレスタンクで10ヶ月間熟成という、かなり興味深い造りとなっています。久能ワインズは基本的に酸化防止剤無添加で造られていますが、2019年からは新たなチャレンジも行なっており、このフリージアに関しては15ppmのみ亜硫酸が添加されています。
透明ボトルに王冠で打栓するというワインらしからぬ見た目にやや驚かされますが、まさにそのイメージ通りフレッシュなスタイルに仕上がっているので、いたって気軽に飲める世界観となっています。色調は紫で、無清澄無濾過らしい濁り酒にも似た微細なテクスチャを持っていますが、何より舌がピリピリとするような、微発泡的な感覚が広がるのが非常に印象的でもあります。加えてやや硫黄的なニュアンスも感じられるので、基本的には抜栓後に少し時間をとって、空気に触れさせ馴染ませた方がより良い結果が得られそうな印象です。
シラーらしいミッチリとした充足感を持ちながらも、非常に気軽に飲める軽快な佇まいなのが面白く、アルコールも12%と低めですが、それでも意外としっかりとした飲み口があり、物足りないと言った印象は特にありません。どぶろく的な親近感ある自然な佇まいでありながらも、基本的要素は非常にしっかりしているという、他にはないかなり面白い個性的な世界観ではありますが、それでも価格帯がやや高めで、気軽に飲むには少し抵抗があるレンジなのが唯一残念な点かもしれません。
(2022/01)