- Good Quality -
栽培家の佐藤明夫が長野県北信地区の高山村で育てたピノ・ノワールを使用。年間生産本数約900本、基本的にはワイナリーでのみ発売される限定品となります。
キノコや梅を感じる香り豊かな風味を持ち、ピノ・ノワールらしいエレガントで魅力ある表情をしっかり構築している傾向にあります。日本のピノ・ノワールでここまでしっかりと品種個性の魅力を表現していることにちょっとした驚きを覚えますが、それでもブルゴーニュのような伝統産地的な世界観ではなく、かといってニュージーランドやアメリカ(カリフォルニア、オレゴン)などのニューワールド的でもない、あくまでも日本ワインらしい資質が土台になっているのが印象的です。
酵母の影響なのか、表層的な風味は非常に豊かですが、純粋なボディは薄めで果実味もやや控えめ、そして仄かなオレンジピールにややぽってりとした酸など、表面的にはフレッシュでありながらも、その内面には若干進んだ熟成感が漂います。抜栓日は果実味のキュートさから素直な印象を受けますが、翌日に持ち越すと酸がやや前に出る傾向にあり、果実味が一旦落ち着くこともあってか、土台部分の軽量感が若干気になる傾向にはあります。とはいえ、全体像としては終始概ねポジティブで、むしろ今後の可能性を感じる非常に有望な世界観だとも言えるので、樹齢を重ねて本領が発揮されるであろう将来のヴィンテージにより期待したい印象でもあります(ピノ好きなら試す価値有り)。
(2022/01)