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フランシュックを代表する歴史あるワイナリーでもあるブーケンハーツクルーフの「マーク・ケント」と、スワートランド・インディペンデント・プロデューサーズの主要メンバーでもあるレンジェンド「カーリー・ロウ」によって、2009年に設立されたワイナリーがこの「ポルセレインベルグ」。見た目的にも、ドイツのハイデルベルグ社製の活版印刷機で刻印された真っ白なラベルが印象的ですが、その名は元々スワートランドにあるマルムズベリーの丘の名前が由来で、この片岩質土壌に植えられたシラー100%で造る(畑の広さは60ha)、造り手と同じ名前のキュヴェを1種類のみリリースしています。
2017年は極度の干ばつで年間降雨量が例年の半分程度しかない非常に困難なヴィンテージでしたが、そんな苦境を全く感じさせない、非常に良好でバランスのとれた仕上がりになっています。清涼感のあるハイトーンな表情と、グリーン系のニュアンスを伴う心地よいハーブ風味やスパイシーさが程よいアクセントになり、緻密できめ細かいボディとうまく一体化され素直な魅力となって飲み手に伝わります。しっかりとしたアルコール(14%)や熟度の高い濃密な果実味を有しながらも、全体的には非常にエレガントで心地よく、終始パッケージングの良さからくるスムースな浸透力が印象的です。世間の高評価から想像してしまうような、圧倒的なエネルギーや孤高感を持つような特別な系譜ではなく、むしろ驚くほど素直に心地よく飲めてしまう明快な表情を持ち、ワインを飲み慣れた人でも納得できるクオリティでありがらも、同時に小難しさはないので万人にも訴求するという、非常に完成度の高いパッケージング能力が最大の特徴と言えるかもしれません(栽培醸造責任者でもあるカーリー・ロウの手腕が見事)。
相対的にかなり価格が高く入手も困難というのが最大のネックではありますが、南アフリカ(スワートランド)のシラーが持つ最高のポテンシャルを体感したい場合は、試す価値のある一本だと言えそうです(基本的には資金に余裕がある富裕層向け)。
(2022/01)