- Very Good Quality -
20世紀におけるシャンパーニュの当たり年として記憶されている「1911年」に敬意を表した、アンドレ・クルエが手がける最上のシャンパーニュ。ブジーにおける最良の10区画(Les Petites Brousses、Les Hautes Brousses、Les Vaudayants、Les Ramoniers、Les Ronsures、Les Cercets、Les Gouttes d'Or、La Croix、Les Varnets、Le Village)からセレクションしたピノ・ノワールを100%使用。一次発酵はソーテルヌで使用した1年樽、瓶内二次発酵後の熟成期間は78ヶ月以上、ドサージュは5g/l、出荷直前にデゴルジュマンされます(今回のロットのデゴルジュは2021年)。以前は1911年当時の様式を継承し、一本一本藁で包まれていましたが、その後は藁を模したプラスティック素材に変更され、現在ではさらに簡素化され透明ビニールによるラップへと変更されています。
見た目からして非常に濃い黄金色で、その印象通りの非常に濃密でリッチなボディを有した飲みごたえのあるシャンパーニュ像が展開されます。直前に試飲したチョーキー程ではないものの、かなりしっかりとした強めの酸が感じられ、リッチで熟成感のある豊かな表情をうまく纏め上げている印象でもあります。酸化熟成系の表情による妖艶さと、キレのあるフレッシュさの両方を兼ね備えた稀有な表情でもあり、ここまでリッチなスタイルのシャンパーニュはあまり他にはない個性だとも言えますが、ひとえに込められたエネルギーとポテンシャルについては具に伝わってきます。グラス一杯だけでも満足できる充足感が最大の特徴でもあるので、大勢で気軽に飲むような場面には適していませんが、時間をかけてじっくり向き合うことで存分にその表情を堪能できるので、とにかくリッチなスタイルのシャンパーニュを求める人にとっては最適な一本だと言えそうです。
(2021/12)