- Very Good Quality -
アルタディのオーナー「ホアン・カルロス・ロペス」が、チャコリの生産者「サピアイン」と共に2015年にスタートした新プロジェクトがこの「イサク・レク」。チャコリに使用される歴史ある葡萄品種でもある白葡萄の「オンダラビ・スリ(92%)」、そして黒葡萄の「オンダラビ・ベルツァ(8%)」を使用し、本格的な瓶内二次発酵によるスパークリングワインへと進化させています。
クリアながらもしっかりとした色調の黄金色で、気軽に飲める軽快なチャコリとは一線を画す、もはや完全に別次元とも言える濃密さが非常に印象的です。チャコリと同じように酸は豊富ですが、その液体は完全にエキス化したかのような密度感で、ノン・ドゼとは思えないような豊かな表情を構築しています。瓶内二次発酵期間は18か月ですが、現時点で6年経過しているということを考えると、その後の熟成によってかなり良好な変化が訪れている印象でもあります。
全体的に、土着品種的な個性あるスタイルというよりも、むしろ王道を行くようなニュートラルな性質のブラン・ド・ブランと言った傾向にあり、天然酵母による複雑さも影響しているのか、瓶内で長期熟成を経たかのようなイーストのニュアンスに、堅牢なボディとバランスの良い酸など、その世界観は優良なRMシャンパーニュにおけるフラッグシップレベルのアイテムに比肩するクオリティとなっています。求心力が高くキレのあるスタイルということもあり、余韻が短くスッと切れる傾向にはありますが、これはこれで逆にチャコリらしい性質をしっかり維持しているとも言えるので、一概にデメリットとは言い切れない印象だったりもします。一般的なチャコリと比べるとかなり高価ではありますが、そのクオリティを考えると、比較対象としてはむしろ良質なシャンパーニュがターゲットになってきそうなので、コストパフォーマンスに関しても思いの外高いと言えるのかもしれません。
(2021/12)