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少量生産を貫き、あくまでも品質とクリュの表現を重視し、農民としてのアイデンティティを堅持する造り手がマリオ・マレンゴ(現オーナーはマリオの息子マルコ)。
少し古めの納屋のような、埃がゆっくり揺蕩うような雰囲気が最初にあるものの、そこから粒立ちのある苦味とガッシリとしたタンニン、そして均質に身の詰まった果実要素が広がります。2011年というやや弱めなヴィンテージの影響もあるのか、ボディが軟質なのが多少気になるところではありますが、例の如く翌日に持ち越すことで一気に昇華。根本的な軟質感は最後まで残るものの、それでも従来のブリッコ・デッレ・ヴィオーレと同様に、しっかり時間を与えることで一体感が増し、本来の高いポテンシャルが存分に伝わります。果実には甘味と旨味が込められ、素直に訴求することもあってか、作柄の不利な側面をうまくメリットに変換しているような印象を受けます。特別な日を飾る一本という感じではないかもしれませんが、その実、内包するポテンシャルは思った以上に高いのかも知れません(更に5〜10年ぐらい熟成させることで化けそうな雰囲気も)。
(2021/11)