- Good Quality -
仁木に隣接する余市産のバッカス100%で造る、アルコール度数10%の飲みやすいスタイルのワインがこの「ねいろ」。ニキヒルズワイナリーらしい落ち着き整った様相が印象的で、ラ・フランスのような洋梨の心地よい甘味に、軽快ながらもしっかりとした酸が感じられ、優しく軽妙な立ち振る舞いとともに素直に楽しむことができます。敢えて若干の糖を残した優しい甘口仕立てになっていますが(表記上はやや辛口)、特に抜栓日はバッカスらしい心地よい甘味が印象的で、逆に翌日に持ち越すと甘味が穏やかになり、青リンゴのようなフレッシュな酸が強くなってややドライ気味な表情へと推移します。全体的には、心地よい甘味がより明確に感じられる抜栓日の方が、バランス的には秀でている傾向にあります。
個人的に、バッカスや青デラのような、甘味を残しつつも酸でしっかり引き締め、軽やかで万人に訴求するタイプのワインには、今後の日本ワインの裾野を広げるためにも非常に可能性を感じていることもあり、この「ねいろ」についても非常にポジティブな印象を受けます。ただ単に甘さを感じるワインとは一線を画す、良質な造りをベースとした世界観は非常に魅力的で、山﨑ワイナリーのバッカスなどと同じように、より多くの人に積極的に楽しんでもらいたい印象でもあります。そういう意味では、気軽に楽しむにはやや高価な価格帯にあり、よりコストをかけたブランド型のアイテムで入手も難しいというのが数少ない欠点と言えるかも知れません。
(2021/11)