- Good Quality -
9ヴィンテージぶりの試飲となる「アル・パッソ」ですが、ラベルが一新されているだけでなく、セパージュもサンジョヴェーゼ34%、メルロー33%、カベルネ・ソーヴィニヨン33%と、品種構成そのものにも変化が見られます。
細くタイトに引き締まる酸に、ぽってりとした丸みのあるボディ、そして後味にかけて仄かにピラジン系のグリーンのニュアンスが伝わります。高いアルコール(13.5%)に熟度の高い果実味、そして豊富なタンニンと、非常に分かりやすい表情を持った端的なスタイルなので、ある意味わかりやすく「高い点数を狙ったスタイル」だと言えるかもしれません(完全なアメリカ市場向けスタイル)。
酸の表情にサンジョヴェーゼらしさを感じますが、全体像としては丸く柔らかいボディのおかげでメルローらしいスタイルになっている印象で、タニックで収斂性は強いものの、カベルネ然とした要素は相対的にやや大人しめな印象です。僅かですが、タイトで硬いピーマン系のニュアンスが感じられるので、どちらかと言うとイタリアらしいカベルネ・フランの印象が強かったのですが、いずれにしても熟度の高い果実味やタンニンが主軸になっているので、カベルネ特有の風味に関しては特に気になることはありません(程よいアクセント程度)。やや安直で端的な表情なのが気になりますが、それでも評価の割には手頃な価格帯を維持出来ているので、深く考えずわかりやすいスタイルのワインを望む場合にはちょうど良い選択肢になるかもしれません。
(2021/10)