- Good Quality -
畑はワイナリーから程近い「植ノ山畑」と「生居畑」の2箇所。植ノ山畑は広さ0.2haで樹齢は10年、土壌は礫が多い赤土主体で早めに熟して果実は黄色く完熟し、生居畑は広さ0.4haで樹齢は9年、土壌は粘土質が混じった赤土で収穫時期は1週間ほど遅く、緑色がかったフレッシュな果実が得られます。収穫日は2019年9月16〜18日、アルコール度数11.1%、総酸度9.37g/l、pH3.2、ボトリングが20年4月9日、生産本数は2,980本。
色調はやや薄めですが、青リンゴを彷彿させる鮮烈な香りが広がります。実際の印象としては、ソーヴィニヨン・ブランらしいグリーン系のハーブ風味は控えめで、その反面、レモンやグレープフルーツのような黄色系の柑橘風味が明確に伝わってきます(使用されている酵母はQA23)。非常に酸が豊富で生き生きとした表情が印象的ですが、風味の豊かさによって鋭さは特に感じられず、造りそのものの良さが伝わってくる傾向にあります。現代的な構成で非常に品質が高い印象ですが、近年の他の日本ワインと同様に酵母的な指向性がやや強めで表情は非常に鮮烈です。とは言え、翌日に持ち越すことで表情が一旦落ち着き、明快な酸を主体とした本来の素性が安定的に感じられるようになるので、全容としては非常にポジティブな印象を受けます。日本におけるワイン造りの進化と、国際市場でも堂々と渡り合えるだけの完成度を感じるので、現代における新たな日本ワイン像と言えるのかもしれません。
ちなみに、日本ワインコンクール2019でこのソーヴィニヨン・ブランの2018年ヴィンテージが銅賞を獲得しています。
(2021/09)