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高知県嶺北地方産の酒造好適米でもある「吟の夢」を使用した純米大吟醸をベースに、炭酸ガス注入方式でスパークリング日本酒に仕立てた一本。土佐酒造のスパークリング日本酒は「好」と「匠」という2種類ありますが、今回試飲するのは上のクラスとなる「好(Hao)」になります。
精米歩合は45%、アルコール度数は15%。当初の想像では、下のクラスの匠とそう大きく変わらない世界観を思い描いていたのですが、実際に試飲すると思った以上に違いがある印象です。特に印象的なのが口当たりのまろやかさ。マッタリとしたクリーミーさと印象的な乳資質、そして心地よいフルーティーな甘味によって、アルコール度数の高さを感じさせない非常に飲みやすい表情となっています。ボディの厚みも匠より印象的で、ベースとなる日本酒部分のポテンシャルが一段上といった印象です。
翌日に持ち越すと、口当たりの良い甘味がやや抑えられ、逆に淡麗な表情の方にスポットが当たるようになります。抜栓直後は後味にガス感や苦味が多少感じられましたが、グラス2杯目からは特に感じられなくなったので、匠と同じ炭酸ガス注入方式とはいえ、泡のコントロールはよりうまく出来ている印象です。思ったよりもポテンシャルを持っていることもあってか、一般的なフルートグラスだと重厚感やモコっとした泡の要素は強くなる一方、内包する繊細な風味はややマスキングされる傾向にあったので、場合によってはザルトのような少し大振りなグラスの方が、表情の細部をより引き立てられるかもしれません。
匠と同じようにやや価格が高めな印象を受けますが、それでもフランスで開催される日本酒コンクールの「Kura Master 2019 スパークリング部門」で審査員賞とプラチナ賞、同2020と2021で金賞を受賞している点や、「Hao」という名前がつけられている点、そして代替コルクの「Zork」が使用されている点、さらには日本国内で一般的な720mlではなく、ワインで一般的な750mlになっている点など、明らかに国際市場を意識したマーケティング主体の商品になっているので、販売価格にある程度のコスト高が反映されているというのは、ある意味仕方がないことなのかもしれません。
(2021/08)