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明治6年、西暦1873年に創業という歴史ある酒蔵「新澤醸造店」の代表銘柄で、創業当時から続く「愛宕の松(あたごのまつ)」をスパークリング仕立てにしたのがこの1本。精米歩合は55%、アルコール度数は13%、日本酒度は-15で、ボトルの見た目はまさに「シャンパーニュ」といった本格的な様相ではありますが、安定した酒質を得るために、実際の製法は炭酸ガス注入方式が用いられているようです。
日本酒の心地良さが素直に伝わる造りが印象的で、口当たりはかなりフルーティーで非常に飲みやすくなっています(落ち着いた優しい甘さ)。熟したメロンのような果実感に、乳酸のようなヨーグルト系の風味があり、やや炭酸ガスの苦味が感じられるものの、想像していた以上に泡が穏やかなので、乳資質のまろやかさと相まって粗さは特に感じられません。
品質が安定していて、日本酒としての表情もしっかり打ち出しながら、それでいて万人受けするであろう飲みやすさと素直な美味しさをうまく構築しているのが最大の特徴で、抜栓時に噴き出しにくいという扱いやすさも考慮すると、食中酒として幅広い場面で訴求してくれそうな印象を受けます。スパークリング日本酒というカテゴリーをより多くの人に知ってもらうためのスタンダードなポジションとして、今後の活躍を期待したくなる1本といったところかもしれません(コスパが良好なので業務店で扱いやすそうな印象)。
ちなみに、2019年の「Milano Sake Challenge」で、スペシャル部門の金賞を受賞しています。
(2021/08)