- Good Quality -
ボルドー大学デュブルデュー研究所とのプロジェクトで造り出した、甲州の隠れたポテンシャルを引き出すこれまでにないワインが「きいろ香」。ワインの最大の特徴でもある「きいろの香り」が誕生するきっかけとなった、「上野園」のシングル・ヴィンヤードから造られる特別なきいろ香がこの「キュヴェ・ウエノ」。熟成はステンレスタンクで約4ヶ月、生産本数は約4,200本となっています。
スッキリかつサッパリとした甲州らしいエレガントさがベースにありながらも、やはり明確な酸と柑橘の風味がワインのスタイルを特徴づけています。とはいえ、通常のきいろ香のような鮮烈さはなく、むしろ表情は比較的穏やかな傾向にあり、どちらかというとグリ系らしい苦味がより印象的で、ボディの質実さ、そして内包するポテンシャル要素は、他のシャトー・メルシャンの甲州よりも明らかに上のレンジに位置しています。
少しグリーンのニュアンスが出ていた通常のきいろ香とは対照的に、キュヴェ・ウエノはレモンやグレープフルーツなどを感じる淡い黄色系のニュアンスで、一本芯の通った酸やミネラル系の要素など、ワインとしての本質的な造りの良さを感じる系譜にあります。一段上に位置する価格帯からも分かるように、一般層向けというよりは、ワインを飲み慣れた通向けの特別なキュヴェといった印象です。それでも、シャトー・メルシャンの甲州の中では最も可能性を感じる傾向にあり、トータルとして見るとかなり高い訴求力を保持しているのは確かなので、品質の高い日本ワインに興味がある人であれば、試してみる価値は大いにあると思います。
(2021/07)