- Good Quality -
山梨県笛吹地区の甲州を使用し、スキンコンタクトによって造る個性あるスタイルに仕上がっています。ステンレスタンク、木桶、オーク樽と様々な発酵槽を使用し、24〜28度で約10〜30日間と、高めの温度でやや長めの発酵が行われ、熟成はステンレスタンクとオーク樽で約4ヶ月、生産本数は約12,400本となります。
色調はキャップシールと似た、やや赤みがかった銅色。透明度は高いものの、褐色系の薄めのロゼを彷彿とさせる色調でもあり、見た目からしても通常の甲州とは根本的に異なるスタイルなのが分かります。基本的には甲州らしいスッキリとした表情で、ボディの軽やかな系譜にありますが、リンゴや紅茶を想起させる独特の風味があり、苦味やタンニンもしっかりと主張しています(余韻は短め)。オレンジワインとして捉えても、あまり類を見ない個性でもあり、全体的な雰囲気としてはリンゴで造られる「シードル」を彷彿とさせるのが印象的です。酒質はクリアかつ流麗で、内包する苦味とも相まって、硬水系のミネラルウォーターやガス入りミネラルウォーターに近いニュアンスが感じられるので、食事との相性は非常に高い印象を受けます。
明確な個性を持ったやや尖ったスタイルなので、基本的には一般受けするようなタイプではないものの、それでも自然派ワインのようなナチュラルに体に浸透していく滋味深さが魅力でもあるので、時間をかけてじっくり向き合うことで多くの人を虜にしそうな印象でもあります。アルコール感も、11.5%という表記以上に低く感じ、非常に飲みやすい印象なので、その個性とは裏腹に、敷居は思いの外低い傾向にあります。
(2021/07)