- Good Quality -
冷涼な気候を持つ、秋田県横手市大森町の傾斜地にある契約栽培の畑で、1982年から変わらずリースリングを手がけリリースし続けています。
2018年は、冬場の豪雪と春先まで続く厳しい寒さから始まり、その後は雨が少なく暖かい日が続いたものの、8月中旬以降は曇りがちな傾向にあったようです。発酵と熟成にはステンレスタンクとオーク樽が使用され(熟成期間は3ヶ月間)、生産本数は約1,700本となります。
公式情報では「やや辛口」となっていたので、口当たりの良い飲みやすいタイプを想像していたのですが、実際には、目の覚めるような鮮烈な酸味を主軸とした、完全にドライで質実な仕上がりとなっています(想像以上に本格的な造りなのが印象的)。白い花や白い石、そしてレモンのようなシトラスのニュアンスが感じられ、同時に芯のしっかりとしたボディを持ち、後味にかけて口中の渇きを感じる収斂要素もありますが、それらの要素を遥か彼方に吹き飛ばしてしまうレベルで非常に印象的なのが「酸」となります。全体的にかなりしっかりとした酸を有しているのは確かですが、それでもなぜか鋭さは感じられず程よくバランスしているようでもあり、むしろその酸を求めて不思議とグラスが進む傾向にあります。根本的に酸が強いワインが苦手な人には不向きですが、それでも日本人にとっては「梅干し」や「米酢」や「酢昆布」など、酸っぱい味わいの食品には親しみ深いという土壌があるので、基本的にはポジティブに受け取れるような印象を受けます。多少飲み手を選ぶ傾向にはありますが、それでも想像以上に品質は高く、生産本数が少なくても価格は現実的な範囲に収まっているので、コストパフォーマンス的にも良好な印象です。
(2021/07)