- Very Good Quality -
1612年にカプチン会の修道僧によって創設されたのがこのドメーヌ・ヴァインバック。先代「テオ・ファーレル」へのオマージュとして、彼の名が冠されたワインがこの「キュヴェ・テオ」になります。
アタックから、プリッとしたライチの濃密な果実味がストレートに伝わり、その密度感に圧倒されます。以前試飲したレゼルヴとは全く異なる世界観に驚かされますが、ただ甘い果実味が広がるのではなく、そこから渾然一体となったハーブ風味が優しく広がり、すぐさま全体を引き締めるミネラル、そして高いアルコールによるヒリつく辛味が後味へと続き、高い次元で甘味と辛味がバランスする余韻へと導かれます。極甘口系ワインにも通じるような、恐ろしいまでの魅惑的な表情を持っているので、その口当たりの良さも相まってかなりグラスが進む傾向にありますが、実際には14.5%という非常に高いアルコール度数を誇るので、正直、短時間での飲み過ぎには要注意です。
ここまで鮮烈な表情を持ったゲヴュルツというのもあまり記憶にありませんが、単純に分かりやすいだけでなく、同時に非常に高いポテンシャルを有しているということもあり、存在感そのものに圧倒的な訴求力を感じます。とはいえ、明確な個性を持っているが故に、料理と合わせるにはかなりのセンスを必要とするので、サービス面をメインで考えると、扱いとしては難しい部類に入りそうな印象でもあります。
(2021/06)