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ピノ・ノワールとサンソー(エルミタージュ)を交配させた、南アフリカ原産の葡萄品種が「ピノタージュ」(1925年、アブラハム・アイザック・ペロード教授の手によって誕生)。過去の歴史などもあり、一般的にはあまりピノタージュにポジティブなイメージを抱く人はいないかもしれませんが、90年初期に植樹された古木のピノタージュを使用し、全房比率20%、フレンチオークの古樽で14ヶ月熟成されるこのアイテムは、想像以上に良質な世界観を披露してくれます。
南アフリカらしく果実感は確かに甘めではありますが、野性味のあるキュートな果実の表情に加え、酸も豊富で、何より後味にかけてしっかりとしたタンニンが主張することもあり、必要以上に甘みを引きずることはありません。多少口中が収斂する傾向にありますが、それでもドライすぎるようなことはなく(むしろ果実のフレッシュさとの対比がいい塩梅)、全体的にはうまくバランスが取れている印象です。アルコールは感じるものの、それでも数値的には12.5%まで抑えられているので、まさに幅広い層に飲んでもらいたい良質なピノタージュといった印象です。そういう意味においては、もう少し手頃な価格帯だとありがたいところではありますが、それでもクオリティを考えると十分納得できるレンジなのは確かです。
(2021/05)