- Good Quality -
アディ・バーデンホーストと従兄弟のハインが2008年に共同で設立。葡萄畑は灌漑なしのブッシュヴァイン。平均樹齢は50年にも及ぶ古木で、有機的な手法で栽培されています。バックヴィンテージとなる2013年のレッド・ブレンドのセパージュは、シラーズ68%、グルナッシュ18%、サンソー10%、ティンタ・バロッカ4%。自生酵母による全房発酵で、収穫時期に合わせた品種毎の混醸を行い、最終的にそれぞれをブレンドして仕上げています。
想像以上に落ち着いた、纏まりのある表情で、漢方的なスパイシーさとアクセントにした、ローヌ的な指向性がベースとなっています。現時点で10年弱の熟成を経ていますが、充実した葡萄の力もあってか、そこまでの熟成感はなく、比較的若いワインと近い感覚で嗜むことができます。充実したボディ、豊かな酸、明確な甘み、しっかりとしたタンニンと、各要素が高いレベルで均衡していますが、時間の経過とともにその均衡が崩れた時には、やや飲みにくくなる印象があります。バランスが取れているときは安定した世界観を紡いでくれますが、今回のロットは抜栓後1時間程度で甘みが強めに出たことや、その資質がやや糖的で、なおかつ後味にかけて口に残る傾向にあったので、若干食事とは合わせにくい印象を受けます。しかし、翌日に持ち越すと、今度は酸やタンニンの方がより前面に出るような傾向にあったので、食事とは合わせやすくなったものの、全体的な訴求力はやや低下した印象だったりもします(次回は最新ヴィンテージを試してみたい)。
葡萄そのものの力を感じる良質な世界観なのは確かで、ブラインドだと南アフリカのワインだとは恐らく気がつかないのではないでしょうか。個人的には、土着的な表情に加えて、濃密な果実味を持ちながらも、全体像はスッキリ纏まっていることから、シチリアにおけるエトナような、温暖な地域でありながらも標高が高く冷涼なテロワールを持つエリアのワインと、どことなく共通する要素を持っているような印象を受けます。
(2021/04)