- Very Good Quality -
キスラーのワインメーカーでもある「ジェイソン・ケスナー」が2002年に設立した自身のワイナリーがこの「ケスナー・ワインズ」。
明快なシャルドネらしいワインではありますが、最も印象的なのが樽の風味で、決して新樽的な訳でもなく、かといって古樽的でもないのが非常に新鮮で(かつて経験したことがないようなニュアンス)、両者の中間のような折衷スタイルが独特の表情を生み出しています(実際、新樽と古樽をミックスしているようです)。また、葡萄そのものに非常に明快な甘みが感じられるので口当たりが良く、同時にしっかりとした酸もあり、全体的に非常に優れたバランス感覚でその世界が構築されています。14.2%という非常に高いアルコール度数を誇るので、じっくり向き合うとボディブローのように響いてきますが、それでも充実した果実の甘みによる口当たりの良さによって、短時間であれば全くアルコールが気にならず、むしろ驚くほどスルスルと飲み進めてしまいます(ある意味、飲みすぎ要注意)。
感動するような、心に訴えかける系譜のワインではありませんが、それでも味覚に直接訴えかける明快な美味しさがあり、どのような場面でも使えそうな安定性や、幅広い層に対して高い満足感を与えてくれそうな充実した世界観は、素直に評価できるポイントだと言えます。言葉にすると端的ですが、現実に「誰もが美味しいと思えるワイン」を造ると言うのはそう簡単なことではないので、個人的には正当に評価したい気分ではあります。そう言う意味では、気軽に試せる価格帯ではないと言うのが唯一のネックかもしれません。
(2021/04)