- Good Quality -
シャンボール・ミュジニーを代表するプルミエ・クリュで、その評価はグラン・クリュに比肩することもあり、この地を代表する偉大な「ミュジニー」に隣接していることもあって、スタイルは似ていて「ミュジニーの妹」とも呼ばれています。
2014年のレ・ザムルーズは、2015年の5月にドメーヌを訪問し、樽から直接試飲をしていますが、他のジャドのキュヴェと同等以上に、当時とはやや異なる印象を受けます。樽からの試飲では、まさに「これぞレ・ザムルーズ」とも言える明快な世界観で、柔らかくエレガント、そして瑞々しい赤系果実の風味が広がる優しさ溢れる表情でしたが、現在の状況はむしろ逆で屈強さや堅牢資質の方がより印象的です。ボディのベースそのものは、シャンボール・ミュジニーらしいたおやかさ、そして非常に滑らかな質感を有していますが、若干の酢酸資質や僅かなごわつきが、肝心なエレガントさをカバーしている傾向にあり、どうしてもその本質を隠しているような傾向にあります。大なり小なり、他のキュヴェも同様の傾向にあったので、もしかするとボトリング時のSO2添加量などが影響しているのかも知れません(詳細は不明)。
多少の懸念はあるとはいえ、そこはやはりレ・ザムルーズ。コアにあるその本質は非常に緻密で訴求力が高く、抜栓後10〜20分程度で魅力がグッと広がり、素直に納得できるだけの美味しさとポテンシャルを披露してくれるので、この価格帯のワインに全く抵抗がない富裕層であれば相応の満足感が得られると思います。逆にいうと唯一の懸念はやはりその「価格」で、その高い知名度故、供給量よりも需要の方が圧倒的に高く(2014年の生産量は3樽のみ)、並のグラン・クリュ以上の価格帯に高騰しているので、良くも悪くも一般層が気軽に手にするようなポジションにはないというのが現実です(それでも2014年は他のヴィンテージよりもかなり手頃なので相対的にはお買い得かも?)。
(2021/04)