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ビール会社大手のキリンの社内ベンチャーとしてスタートした、こだわりのクラフトビールブルワリーが「スプリングバレーブルワリー(SVB)」。多種多様なクラフトビールの飲み比べや料理とのペアリングなど、新たなビール体験を提案するプロジェクトでもあり、現在のところ「代官山」「横浜」「京都」に醸造所併設店舗を構えています。
この「アフターダーク」は、SVBが手がける6種類の定番「コアシリーズ」のうちの一種類で、従来の黒ビールとは一線を画す濃色ビールとなっています(ブリュワーは「森本宗徳」)。通常の黒ビールは「麦芽の皮(穀皮)」をつけたまま焙煎しますが、アフターダークは敢えてこの穀皮を取り除いてから焙煎することで、独特の風味を生み出すことに成功しています。
一口目からかなりのインパクトを残してくれる、美味な黒ビールといった印象で、非常に香り高く、第一印象はまさに「コーヒー」。黒蜜や黒糖を感じるようなまろやかな甘みと、心地よいほろ苦さ、そして豊かな飲み口は、小難しさを必要としない明快な美味しさを有しています。ビールがあまり得意でない方、そして女性でも気軽に飲めるスタンスでありながら、同時にコアなビール好きにも訴求してくれる充実した要素と良質な造りは、まさにこれまでにはない魅力を持った黒ビールといった様相で、非常にポジティブな印象を受けます。
「ラテのような香りと、ふくよかな飲み口。」というキャッチコピーに、一瞬、牛乳(ラテ)の要素があるのかとも思いましたが、ここでいうラテとは牛乳のことではなく、あくまでも「カフェラテ」のことで、実際に飲めばその真意がストレートに伝わります。あくまでも「カプチーノではなくカフェラテのよう」というあたりがキーになっている印象で、黒ビール特有の苦味を一定に抑えつつ、同時に幅広い層に訴求する親しみやすさを構築しているのが大きな特徴で、スイーツに合わせられるビールというポジションも、かなり稀有で唯一無二の存在感を示している印象です。
(2020/12、2021/01、2021/02)