- Good Quality -
現状では、全体的に表情が硬く収斂傾向にあるのが印象的。表層自体は滑らかで、ニュージーらしい果実の充足度がコアに感じられるものの、ボディのボリューム感としては、あくまでもピノ的な薄さを持つ適度なサイズ感になっています。明快な、いかにもニューワールド的な果実味重視スタイルとは対極にある質実さが基軸となっているので、やや素っ気なく還元的な傾向にはありますが、このアイテムはヴィンテージを重ねるごとにポテンシャル系の要素を高めている印象でもあるので、この辺りは飲み手の判断が多少分かれるポイントかもしれません。
思いの外タンニンが豊富で、アルコールもしっかりしていることもあり(13%)、基本的な質の硬さの影響もあってあまり親近感が湧くようなスタイルではありませんが、時間を置くことでかなり表情に変化があるので、現状だと抜栓後に時間をしっかり与えるか、もしくは存在を忘れて更に5年程度熟成させる方がベターかもしれません。今回のロットだと、抜栓3日目になってようやく硬さが解れ、魅力ある果実の甘味と充実したボディとのバランスが良くなる傾向にあったので、ワインとの向き合い方としては、伝統産地のポテンシャル系ワインを扱うようなスタンスの方が良さそうな印象です。
(2020/10)