- Good Quality -
2001年にニュージーランドのマーティンボロでワイナリーを設立。今やニュージーランドを代表するだけでなく、世界基準で非常に高く評価される日本人醸造家「楠田浩之」によるピノ・ノワールです。
畑は2012年から同じですが、2015年からは自社畑になるので、今回の2014年はリース最終ヴィンテージということになりそうです(管理は自身で行なっているので恐らく名義上の違いのみ)。
直前に試飲したサトウのピノやコヤマのピノと比較すると、より伝統的なブルゴーニュのピノに近い軽やかな薄めのボディとなっていますが、意外なことに、これぞクスダとも言えるような豊かな果実力や芳香性はやや影を潜めている傾向にあります。2014年というヴィンテージへの期待もあってか、少し肩透かしを食らった印象でもありますが、内包する要素の密度やエネルギー感自体は十分な水準となっています。
全体的に還元傾向にあり、煮詰めた豆や酢酸系のニュアンスが多少感じられますが、抜栓後2〜3時間で大きく改善されるので、現状だと飲む数時間前に抜栓しておいたほうが無難かもしれません。ただ、そこからクスダらしい旨甘い果実味が膨らみそうに見えて、その実、逆に豊富なタンニンやヒリヒリとする辛味など、質実系の要素が時間とともに強くなる傾向にあったので、もしかするともう少し熟成させたほうが良い結果が得られるのかもしれません(バランスにあまり定位感がなくややチグハグ)。純粋な果実力は高く、十分なエネルギーを内包していますが、ボディそのものがやや薄めで、相対的に酸が強いという点、そして本来のクスダらしい圧倒的訴求力が見られないというのがやや気になるところではありますが、素性そのものは悪くないので、この価格帯のワインに対して特に抵抗がない層や、毎ヴィンテージ楽しみにしているような層であれば、相応の満足感は得られると思います。
(2020/10)