- Good Quality -
これまでのブリック・バリンとは大きく異なる世界観なのが非常に印象的で、熟した果実味は退廃的なニュアンスを兼ね備え、全体像としてはオールドヴィンテージのバローロに近い雰囲気となっています。
表層的には滑らかで瑞々しさも感じられるものの、廃屋や古樽を感じるような古めかしい仕立てと、口中に強い渇きを伴う収斂したタンニン、そして高いアルコールと、モダン要素とトラディショナル要素が玉石混交となった不思議な表情を生み出しています。今まで抱いていたモッカガッタのイメージとは大きく異なる世界観なので、正直やや面食らってしまいましたが、やはりスタイルどうこうというよりも、現時点で既に10〜20年以上経過したかのような独特な退廃感が、ややとっつきにくい印象へと繋がっているのかもしれません。また、これまでにあまり経験したことのないような、尋常ではない量の澱が含まれているのもやや気になる点で、総じて扱いが非常に難しい印象を受けます(デキャンタの使用を推奨)。
モッカガッタといえば、現代的な指向性を明確に打ち出す作り手という印象を持っていましたが、何か路線に変更があったのか、それとも今回のみの限定的な変化なのか、実態を知るにはもう少し様子を見る必要がありそうです(ワインを飲み慣れていない限りは避けた方が無難)。
ちなみに、今回の2011年ヴィンテージは、2015年のヴェロネッリで星3つとなる「トレステッレ」を獲得しています。
(2019/12)