- Good Quality -
セパージュは、樹齢20年のガルナッチャ・ティントレラ80%にシラー20%。粘土質のシルト土壌で造られるアルシージャに対し、このカントスは石灰が混じった沖積土壌で造られています。
スペイン南部らしい充実した果実と密度感を持っていますが、表層の滑らかさと落ち着いたボディの厚み、そして全体に行き渡る酸など、標高の高さを感じる冷涼さや程よいミネラル感など、全体像としては落ち着いたエレガントさを兼ね備えています。翌日以降に顕著になるのがタンニン系の要素で、基本的な表情としては赤系のニュアンスがベースになっていますが、思った以上に苦味と渋みがしっかりしている点など、どことなくシチリアのエトナにも共通した雰囲気が感じられるので、ネレッロ・マスカレーゼやピノ系の品種が好きな人であれば、より素直に受け入れられそうな印象です。
現代的な観点からしっかりと纏めあげられていますが、ちょっとした弱さや脆さを同時に内包している点が、逆に飲み手を引きつけるポイントになっているような印象でもあり、完璧ではないからこその魅力が非常にポジティブな世界観を生み出しています。少なくとも、ブラインドの試飲でこの価格だと見抜ける人はまずいないと思うので、日常で楽しみたいワインとしてはズバ抜けたコストパフォーマンスだと言えそうです(最近試飲したデイリーレンジでは最も印象的)。
(2019/10)