- Very Good Quality -
以前、リリースされて数年程度の時に試飲した際は、この年のサン・ジュスト・ア・レンテンナーノのスタイルでもあるタニックな指向性が色濃い傾向にありましたが、現時点だと流石に10年間の熟成を経ているので、この重厚なタンニンについても一定量の落ち着きが見られます。とはいえ、ベースとなるのはやはりこの屈強で「剛」な資質を持つタンニンで、純粋な果実味には熟成感による熟れた風味の変化が見られるものの、全体像としてはまだ一定の若さとポテンシャルを感じる傾向にあり、これから数年かけてピークに到達して行きそうな雰囲気を放っています。
魅惑的で誰が飲んでも楽しめるようなスタイルのリコルマとはやや異なり、2009年はピンポイントでワインを飲み慣れてる人向けのスタイルになっているのが印象的ですが、豊富なタンニンだけでなく、熟度と密度の高い圧倒的な果実力も健在で、梅やヨードを感じる風味がインクや墨汁を彷彿とさせる酒質に溶け込み、しっかりとした酸とともに意外なバランス感覚を披露してくれるので、その重厚感に反して飲み疲れるようなことはなさそうな印象です。とにかく、各要素が非常に充実しているので、料理と合わせるのもそう簡単ではなさそうですが、その分、ワイン単体で楽しめるポテンシャルをストレートに発揮してくれるとも言えるので、ポテンシャル系のリコルマが放つエネルギーを存分に享受した人には非常にお勧めできる内容になっています。
(2013/11、2019/09)