- Good Quality -
100年以上森だった場所を1989年に自ら開墾した畑で、冷涼な気候と珍しい青いシスト土壌と言う特徴があります。品種はリースリングとピノ・グリの混植。
濃密なエキス分を感じる甘い香りが漂いますが、その表情はいたってドライで、その凝縮度だけをとると貴腐ワインに近い雰囲気を纏っています。ワインの資質には、酸化熟成系の表情や、スキンコンタクト系のような複雑さもあり、どこかジャック・セロスのようなニュアンスも感じられます。かなり明確な個性を持ったスタイルですが、全体的には非常に纏まっていて、純粋な品質としてはかなり高いものが感じられます。
ピュアで緻密な資質が根底にあるものの、退廃感を内包した酸化熟成のニュアンスは、それなりに飲み手を選びそうな印象だったりもします。とはいえ、時間の経過とともにかなり穏やかな表情へと推移し、後味にかけての細く締まった酸や苦味が程よいアクセントになってくれるので、このスタイルを前向きに捉えてうまく料理とペアリングさせれば、最終的にはかなり高い満足感が得られそうな印象でもあります。
(2019/08)