- Very Good Quality -
生産量が少ないのであまり見かけることのないヴァッレ・ダオスタのワインですが、州全体の生産量の10%近くを占めるという、まさに産地を代表する生産者といえるのがこのレ・クレーテ。
単一品種で造られているとは思えないほど、多様な要素が散りばめられている傾向にあり、レモン、杏、桃、白い花、金木犀など、表情は多彩で飲み手の心をグッと掴んでくれます。畑は最低でも600m、最高で1,000mという高地にあるのが特徴ですが、まさに冷涼産地で造られる白ワインらしい表情で、心地よいスッキリとした清涼感や、クッキリとした芯を持つミネラル系の要素がストレートに伝わってきます。爽やかさに加えて、グリーン系のニュアンスを持つハーブ風味やほろ苦さが後味に広がり、ちょっとしたアクセントになっているのも印象的です。純粋な果実味は、蜜を感じるエキス分の濃密さが印象的で、バリック仕立てで造られるということもあり、上質なナッツやバターなど、その果実の力に合わせたリッチなスタイルが土台に存在しています。北部ならではの心地よい冷涼感と、良質なシャルドネ像に準拠したリッチさ、この一見反発しそうな両要素が、不思議なぐらいの絶妙なバランスで共存し、結果として高水準の世界観を生み出している印象でもあります。
イタリアの白ワインとしてはトップクラスと言えるほどの高い完成度を誇っていますが、フランスを代表するような白ワインとも十分肩を並べられる存在感でもあり、国際市場でも存分にその高い競争力を発揮してくれそうです。葡萄が持つポテンシャルを、テロワールを具現化させながら非常に高い水準で纏め上げたレ・クレーテの手腕が見事でもあるので、上級キュヴェならではの世界観をぜひ存分に堪能してもらいたいところです。
(2019/05)