- Good Quality -
デエサ・ラ・グランハは、以前から古いヴィンテージが普通に流通している傾向にありましたが、未だに2007年という古いヴィンテージが現行として流通しているのには驚きます(おそらく日本市場固有の状況)。
まさにアレハンドロ・フェルナンデスのワインらしい明快な表情で、アタックからミルクやバニラの風味、そして後味には粒立ちのある苦味と、コッテリとした樽要素を前面に打ち出した立ち振る舞いは、以前と同様で特に大きな変化はありません。ラベルやコルクが綺麗ということからもある程度想像できますが、実際の中身についてもかなり若いヴィンテージ(リリース仕立て)のような印象を受けるので、熟成感やオールドヴィンテージ特有の枯れた風味を期待していると、肩透かしを食らう可能性が高そうです。
デエサ・ラ・グランハらしさが感じられるサラリとした酒質で、表層的には程よくバランスが取れていることもあり、全体像としてはモダンな印象を受けます。しかしその反面、実際の中身は2000年代初頭を彷彿とさせるような、ひたすらアタック重視で樽による厚めの化粧を施した、まさに時代を感じるスタイルになっているのが印象的です。一時代を築いたパーカー全盛のスタイルを現代の視点で再現したかのような印象も少し感じられますが、肝心の葡萄そのものの要素、つまり純粋な果実味やボディが特に感じられず、表面に広がる化粧感が終始先行する傾向にあるのがやや残念なところではあります。翌日に持ち越してもその本質には変化がないので、葡萄そのものが持つポテンシャルで世界観を構築しているというよりも、アレハンドロ・フェルナンデスの持つ技術力で安定維持させている、といったところなのかもしれません(それでも価格が以前よりも大幅に下がっているのが驚き)。
(2019/04)