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アンドローの谷の出口に位置するグラン・クリュがこの「ヴィーベルスベルグ」。南東向きの急斜面に砂岩土壌で構成され、水はけがよく暖かくなるというミクロクリマを有しています。
全域に渡ってグラン・クリュらしい緻密さが感じられますが、立ち振る舞いそのものは軽やかで、中心に蜜を感じる明確な甘み、そしてその周囲にはミネラル系の要素が広がります。全体的に、ポテンシャル要素よりも素直な魅力が先行する傾向にありますが、抜栓日は果実の甘味がより明確に主張し、翌日以降に持ち越すことで表情が落ち着く傾向にある点など、その世界観の概要としては同じグラン・クリュのメンヒベルグと共通する印象でもあります(ある種クライデンヴァイスらしいスタイル)。
明確なミネラル感が薄く全域に広がり、後味には仄かな苦味が感じられますが、決して硬質感や厳しさを感じるようなスタイルではなく、蜜的な果実味にレモンやオレンジピールのようなスッキリ感が加わり、終始親近感ある素直なスタイルになっています。一般的なリースリング像とは違い、かなりの緻密さを有していることもあってか、どことなくグリ系のようなイメージと重なりますが、言い換えると、それだけ各要素が充実しているということなのかもしれません。とはいえ、市場価格はやや高めなので、相対的なコストパフォーマンスの分の悪さが、唯一のネックになりそうな印象でもあります。
(2019/04)