- Good Quality -
かつてシンデレラワインとして一世を風靡した「シャトー・ド・ヴァランドロー」を手がける「ジャン・リュック・テュヌヴァン」による、より日常的なスタイルのACボルドーがこの「バッド・ボーイ」。セパージュはメルロー95%にカベルネ・フラン5%。まさに右岸の魅力が存分に詰まった構成となっています。
海苔の佃煮のようなヨード感が仄かにアタックに感じられ、柔らかく豊満な口当たりと、後味に広がる清涼感のある青味など、まさにメルローの持つ魅力とカベルネ・フランの個性がストレートに反映されたわかりやすいスタイルとなっています。メルロー主体の早くから楽しめる世界観ではありますが、実際には数値以上にカベルネ・フランらしさを感じます(ヴィンテージによっては5%以上ブレンドされています)。ベースには意外としっかりしたタンニンがあり、抜栓翌日に持ち越した時の一体感や昇華水準を鑑みると、気軽に飲める早飲みスタイルの割には、それなりのポテンシャルを持っているような印象でもあります(逆に現状だと抜栓日はやや端的)。
本質的には、ボルドーワインをより親しみやすい存在へするために自ら歩み寄っていると言うのが最大の特徴で、ボルドーワインが持つ厳格さや偉大さは一旦脇に置いておいて、日常で楽しめる世界観を現実的な価格帯で実現していると言う点がキーになっています。ワインが主役になるのではなく、あくまでも料理とともに楽しむ脇役姿勢が基本スタイルで、ボルドーの右岸らしさを維持しながらも、他の産地とも競合できるコストパフォーマンスレベルを目指しているような印象を受けます。
(2018/12)