- Good Quality -
酵母の関係なのか、アタックにはニュージーのピノ・ノワールのような鮮やかなニュアンスが感じられますが、反面、その内部には古風で退廃的な空気感とやや窶れた酸があり、鮮明な若さと老いを感じる草臥れた佇まいが距離を置いて同居しています。認証を取得した自然な造りではあるものの、実際のワインとしては人の手によってパッケージングされた印象があり、その辺りは良くも悪くもドミニク・ローランと言ったところなのかもしれません。
ボディも薄めで、抜栓日は特にチグハグな印象を受けますが、不思議なことに、翌日に持ち越すと若さと古さの垣根が薄れ、思った以上の一体感を垣間見せてくれます。相容れない印象だった当初の状態からは想像できない一体感でもあるので、葡萄本来のポテンシャルとドミニク・ローランの手腕とのバランス関係は、実は意外とうまくとれているのかもしれません。いずれにせよ、デキャンタを使用したり、早めの抜栓でしっかりと時間を与えるようにするなど、良い結果を得るためには相応の工夫が必要です。
(2018/12)