- Good Quality -
八ヶ岳の麓、標高750mという高地に位置するのが「ドメーヌ・ミエ・イケノ」。開墾前の畑に猫の足跡が多くあったことから、畑の名前を「猫の足跡畑」とし、会社の名前もフランス語に訳した「レ・パ・デュ・シャ」と名付けています(星野リゾートの「リゾナーレ八ヶ岳」とも提携)。
かなり芳香性が強く、酵母的なニュアンスや化粧気が強い傾向にはありますが、それでも全体像としては前年の2012年よりも一歩進んだ印象を受けます。ボディはかなり薄めながら、その反面、内部にはこれ以上ないというぐらいに各要素が詰め込まれ、その高い緻密さには目を見張るものがあります。その緻密さ故に、どこまでいっても解れることのない一定の硬さが残りますが、時間が経過してもこの本質に変化は見られないので、仮に長期間熟成させたとしても大きく花開くようなタイプではなさそうです(基本姿勢が変わらないのでいつ飲んでもOKなタイプ)。とはいえ、その落ち着いた表情には非常に丁寧な仕事が垣間見れ、そこに多くのコストがかけらているのが具に理解出来る、品のある仕上がりなのは確かなので、長い熟成に耐えるだけのポテンシャルはありそうです。
冷涼な佇まいとブルゴーニュ的な振る舞いを持つ、ある種、日本のワインらしからぬ雰囲気を兼ね備えてはいますが、それでもボディの薄さがかなり特徴的なので、その密度と品位に反して、ワイン単体だとどうしてもアラが目立ってしまいます。なので、落ち着きのある良好な表情を生かしつつ、基本的には料理とともに相互補完することが重要になりそうです。
(2018/12)