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少量生産を貫き、あくまでも品質とクリュの表現を重視し、農民としてのアイデンティティを堅持する造り手がマリオ・マレンゴ(現オーナーはマリオの息子マルコ)。
表層の流麗感が心地よく、滑らかな質感が印象的なスタイルとなっています。ブリッコ・デッレ・ヴィオーレのテロワールが感じられるエレガント系ではありますが、内包するタンニンは豊富で、渇きを伴う収斂要素が口中に広がるものの、そのドライな要素を瑞々しさが上回るので、飲み口としてはいたって良好です。キュートさを持つ果実味としっかり主張する酸も印象的ですが、同時に程よいバランス感でボディのリッチさ、そして仄かなバニラやチョコ風味が広がり、マレンゴらしい手綱捌きのおかげで「今飲んで美味しい魅力的な表情」にうまくスポットが当たっているのが印象的でもあります。
西側のクリュ・バローロというと、どうしても強靭なタンニンに加えて酸も明確で、ネッビオーロという葡萄のポテンシャルを感じると同時にその難解さも印象的な傾向にありますが、マレンゴの場合はそうした小難しさをうまく抑え、分かりやすく訴求する素直な美味しさをうまく前面に打ち出してくれているので非常に好印象です。翌日に持ち越すと、陽的な要素がなだらかに落ち着き、本来兼ね備えたポテンシャル系の淡麗さが主体となるので少し難易度は上がりますが、それでも抜栓直後から分かりやすく楽しめるスタイルを打ち出している点は、バローロに対する間口を広げる事に繋がるのでかなりポジティブに感じます。
(2018/11)