- Very Good Quality -
バローロ村の西端付近の丘にある偉大なクリュ「ブリッコ・デッレ・ヴィオーレ」。一般的に、バランスのとれたバローロが産出されるエリアとされていますが、実際には、この地のテロワールと造り手のヴァイラとしてのスタイル、その両方を感じ取れるスタイルに仕上がっています。
ボリュームを感じるスタイルではないものの、表層は滑らかで、エレガントで流麗な質感が伝わります。やや薄めの体躯ながら、その内部には膨大なタンニンを内包していることもあり、突出した強い苦味とエッジの効いた酸が非常に印象的です。ボトル差の問題なのか、今回のロットは想定していたよりも還元状態にあり、抜栓直後はややネガティブな香りが広がるのがやや気になります。大ぶりのグラスを使用してしっかりと空気に触れさせるか、デキャンタを使用する方が無難かもしれません。開くのに若干時間がかかる傾向にありますが、空気に触れさせながら時間をしっかり与えて、抜栓翌日に持ち越すぐらいまで待てば求心力が増す傾向にあります。また、その頃になると当初感じられたネガティブな還元臭はほぼ感じられなくなります。ただし、それでもタンニンと酸が強く、甘酸っぱい果実味は緻密ながらも小ぶりな傾向にあるので、控えめなボディ中央部を補うためにも、料理と合わせて楽しむことがより重要になりそうです(やや飲み手を選ぶ世界観)。
表層的にはバローロ村のクリュらしい流麗なスタイルではあるものの、内包する各要素は非常にポテンシャルが高く、造り手のヴァイラらしさが感じ取れる凝縮感のある内容となっています。ただし、各ピースがしっかりとハマるような印象がなく、各要素がそれぞれ異なる方向を目指しているようでもあるので、残念ながらその高いポテンシャルがあまりうまく生かされていないようにも感じられます。今回のボトルだけで判断すると、全ての要素が一体となった姿はあまり想像できませんが、それでもより良好な成長を遂げそうなボトルの状態を想像すると、今後更に10年、20年と熟成させることで、最終的には非常に高い訴求力を発揮してくれそうな、そんな可能性の一端が感じられます。
(2018/11)