- Very Good Quality -
ロベルト・ヴォエルツィオらしい、際立つ凝縮度を持つ高エネルギーのボディが非常に印象的ではありますが、過熟果実の傾向がより強く、何より少し熱が入ったようなヒネ感があり、やや熟成が進んだ資質や退廃感など、シェリーのようなニュアンスが強めに感じられるのがやや残念なところではあります。1999年のラ・セッラや、他にも過去に試飲した新しいヴィンテージ(正規品)では同様の資質は感じられなかったので、今回のボトルは状態に多少の問題があった可能性もありますが、それでもその全容を感じ取れる状態ではあったので、まずは一安心といったところではあります。
タンニンは微細に解れているものの、含有量は膨大かつ資質は屈強で、非常に強い渋みを伴います。後味には口中に渇きを伴い、全体を引き締める高いアルコール感(15%)とも相まって、土台となる部分は非常に厳格なスタイルで構築されています。しかし、凝縮した過熟果実の妖艶さと、全くブレることのない輪郭、そして心地よい瑞々しさを持ったフレッシュな表情が、結果として飲みやすい方向へと自然に導いてくれます。
過熟果実の資質にやや懸念があるので飲み手を選ぶ状態ではあるものの、それでも翌日に持ち越すとネガティブな要素が大幅に減衰し、時間とともに徐々に求心力が高まっていく傾向にあります。この辺りは、葡萄本来がもつポテンシャルの高さ、その高いエネルギー量による本質的な底力が寄与しているような印象で、多少の問題があってもそれを跳ね返すだけの力がコアに潜んでいると言うことなのかもしれません。
絶対的な価格の高さがネックなので、状態の不安があると輪をかけて手を出しにくくなりますが、初めて飲むと言うことでなければその本質は十分汲み取れるので、価格面が特に問題にならないような富裕層であれば相応の満足感は得られると思います。
(2018/11)